製造現場では、洗浄や乾燥、清浄、アセンブリなどの工程で多様な溶剤が使用されています。これらの溶剤は、脱脂・除塵・乾燥・接着などの用途で欠かせない一方、VOC(揮発性有機化合物)として大気中に放出されると環境汚染の原因にもなります。そのため、工程ごとに適した溶剤回収装置を導入し、再利用と環境対策を両立することが重要です。
この「工程別・溶剤回収」カテゴリでは、半導体・電子部品・精密製造などの各工程における溶剤回収の仕組み、選定ポイント、導入メリットを解説しています。さらに、小風量・水溶性溶剤対応に優れた栗本鐵工所の真空脱着(PSA)方式溶剤回収装置についても、各工程の特性に合わせて紹介します。
フォトリソ後のウェハ洗浄や乾燥では、IPAやアセトンなどの溶剤を使用します。真空脱着(PSA)方式を採用した装置なら、水分を含む排気でも排水量を最小化しつつ安定したIPA回収が可能です。
クリーンルーム清浄では、IPAやエタノールなどのアルコール系溶剤が多用されます。真空脱着方式は、水蒸気を使わずに常温で吸着剤を再生できるため、清浄環境を乱さず低排水運転を実現します。
装置や部品のメンテナンス洗浄では、炭化水素系・エステル系など多様な溶剤が使われます。真空脱着(PSA)方式は、蒸気を使わず常温再生で安全に炭化水素系溶剤を回収できるため、防爆環境にも適しています。
接着・封止・実装などの後工程では、エステル系やアルコール系溶剤が多く使われます。真空脱着方式による溶剤回収は、低排水・高純度・省エネ運転を同時に実現し、高品質生産ラインにも最適です。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など
95%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)