ナフサ

ナフサとは?その特性と用途

ナフサは、石油精製工程で得られる軽質の液体炭化水素の混合物です。引火点が低く、取り扱い時には厳重な管理が必要ですが、その利用範囲は石油化学製品の原料から燃料まで多岐にわたり、石油化学工業や燃料産業において重要な役割を果たしています。

ナフサの基本特性

ナフサは、原油を常圧蒸留装置で蒸留分離して得られる炭化水素混合物で、沸点範囲はおおむね30℃から180℃程度です。無色透明で低粘度、揮発性が高く、可燃性も高いという特徴を持っています。

引火点が低いため、取り扱い時には厳重な管理が必要です。保管や輸送の際には密閉容器を使用し、適切な温度と湿度管理を徹底することが求められます。

ナフサの主な用途

ナフサは、その高い溶解力と揮発性から以下のような用途で広く利用されています。

化学工業

エチレンやプロピレンを製造するための原料として使用され、プラスチック、合成ゴム、合成繊維の製造に利用されます。ナフサを高温で熱分解(クラッキング)することで、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系炭化水素が生成され、これらがポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチック製品の原料となります。

ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素もナフサから得られ、これらは合成繊維や合成ゴム、塗料、洗剤など、多岐にわたる製品の製造に利用されています。

溶剤用途

ナフサは、その高い溶解力と揮発性から、工業用溶剤として広く利用されています。塗料や接着剤、インクの製造工程で溶剤として使用され、これらの製品の粘度調整や乾燥速度の制御に活用されています。

金属部品の洗浄や脱脂工程でも、ナフサ系溶剤が用いられることがあります。さらに、家庭用のクリーナーやシンナーの成分としても使用されることがあり、日常生活においてもその存在は身近です。

燃料用途

ナフサは、燃料としての用途も持っています。オイルライターやキャンプ用のポータブルストーブの燃料として使用されるホワイトガソリンは、ナフサを精製したものです。

ナフサはガソリンのブレンドストックとしても利用され、ガソリンのオクタン価を調整する目的で添加されることもあります。一部の工業炉やボイラーの燃料としても使用されることがあり、その高い発熱量と燃焼特性が利用されています。

ナフサ溶剤回収装置の仕組みと選定ポイント

ナフサの効率的な回収と再利用を実現するためには、適切な溶剤回収装置の導入が重要です。ここでは、その基本的な仕組みと選定時のポイントについて解説します。

ナフサ溶剤回収装置の基本的な仕組み

蒸留方式

蒸留方式は、使用済みのナフサを加熱し、成分の沸点差を利用して分離・回収する方法です。廃溶剤を装置内のタンクに投入し、底部のヒーターで加熱。溶剤が気化すると、コンデンサーで冷却され、再び液体に戻ります。このプロセスにより、汚染物質と純粋な溶剤を効果的に分離し、高純度のナフサを再生できます。

蒸留方式は、溶剤の再利用を可能にし、廃棄物の削減やコストの節約に優れています。ただし、高温での処理が必要なため、熱分解や酸化劣化による品質低下を防ぐための温度管理が重要になります。

蒸留式溶剤回収装置
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吸着方式

吸着方式は、活性炭や専用の吸着材を用いて、蒸気を効率的に捕集・回収する方法です。溶剤を含む排ガスを吸着槽に通し、活性炭が溶剤成分を吸着。飽和した活性炭は、水蒸気で再生され、溶剤は蒸気として脱着されます。この蒸気は冷却・凝縮され、液体の溶剤として回収されます。

吸着方式は、連続運転が可能で、省エネルギー性に優れています。低温での処理が可能なため、熱に敏感な溶剤の回収にも適しています。さらに、VOC(揮発性有機化合物)の排出削減に効果的です。ただし、吸着材の定期的な交換や再生が必要になります。

吸着式溶剤回収装置
について詳しく見る

ナフサ溶剤回収装置の選定ポイント

ナフサ溶剤回収装置を選定する際には、処理能力・環境性能・安全性などさまざまな要素を考慮する必要があります。適切な装置を選ぶことで、コスト削減・安全性向上・環境負荷低減が可能です。

処理能力

ナフサの使用量や生成される廃溶剤の量に応じて、適切な装置容量を選定することが重要です。過大または過小な処理能力を選んでしまうと、効率低下やコストの増加を招く可能性があります。適切な処理能力で運用することで、無駄なコストを削減できます。

環境性能

VOC規制や地域ごとの廃棄物処理法に適合した装置を選ぶ必要があります。環境への配慮を徹底することが、企業の社会的責任として求められるためです。廃棄物削減や温室効果ガスの排出抑制ができる装置は、持続可能な社会への貢献として重要視されています。

安全性

ナフサの高い引火性に対応するため、防爆仕様や密閉設計が施された装置の選定が必須となります。安全対策は、従業員の保護と事故防止の観点からも重要です。

運用効率

省エネルギー設計や吸着材の長寿命化、操作の簡便さなど、日常の運用における効率性も考慮すべきポイントです。これにより、ランニングコストの大幅な削減が可能です。省エネ性能を重視することで、環境負荷の低減にも貢献できます。

ナフサ溶剤回収装置導入のメリット

ナフサ溶剤回収装置を導入することで、コスト削減、環境負荷低減、安全性向上、効率的な運用など、長期的観点においてさまざまな利点があります。

廃棄コストの削減

使用済みのナフサを再利用することで、廃棄量が削減され、処理コストの低減が可能です。新規のナフサ購入費用も節約できるため、総合的なコスト削減につながります。

規制対応と環境負荷の軽減

ナフサはVOCの規制対象となるため、適切な管理が求められます。VOC排出規制に対応することで、法的リスクを回避できます。環境負荷を軽減することにより、企業の持続可能性を高め、社会的評価を向上させる効果も期待できます。

操業効率と生産性の向上

ナフサ溶剤回収装置を導入することで、ナフサの安定供給が可能になり、製造工程全体の効率が向上します。生産性を高めるだけでなく、従業員の安全性も確保され、作業環境が改善されます。VOCの漏出を防ぐことで作業空間の空気品質が向上し、従業員の健康リスクを軽減する効果も得られます。

ナフサ溶剤回収装置はコスト削減と効率向上を両立するだけでなく、環境保護と安全性向上の観点からも不可欠な設備といえます。


溶剤回収装置は使用する化学製品や用途に合わせて選ぶことで、コスト削減・安全性向上・環境負荷低減が可能になります。
当サイトでは、さまざまな製造工程に適した溶剤回収装置を、用途別にご紹介しています。装置導入をご検討の方はぜひご参考にしてください。

ナフサ溶剤回収装置の必要性

ナフサ溶剤回収装置は、環境規制への対応やコスト削減、資源の効率的な利用を実現するために欠かせない設備です。

VOC排出量を削減しつつ廃棄コストを抑えることは、企業の持続的な成長に貢献します。

ナフサの使用状況の再評価と専門家への相談を通じて、自社に適した装置導入の検討してみてはいかがでしょうか。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

抽出・精製・濃縮工程で発生する
塩素系廃液の溶剤回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など

回収率(目安)

95%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18