印刷工程では、インキや洗浄剤として多量のVOC(揮発性有機化合物)を含む溶剤が使用されます。
特有の果実臭を持つ無色透明の液体で、乾燥が非常に早いため、主に食品パッケージなどのグラビア印刷用インキの溶剤として広く利用されています。揮発性が高く、大気中に放出されると光化学スモッグの原因となるVOC(揮発性有機化合物)に該当するため、大気汚染防止の観点から溶剤回収が必要です。
バナナのような匂いを持つ無色透明の液体です。酢酸エチルと比べて揮発速度が遅いため、インキの乾燥速度を調整する遅乾溶剤として印刷業界で重宝されています。
酢酸エチルと同様にVOCに指定されており、作業者の健康被害(有機溶剤中毒)を防ぐため、環境負荷を低減するために確実な溶剤回収が求められます。
アルコール臭を持つ無色透明の液体で、安価で溶解力が高いため、インキの溶剤や印刷機材の洗浄剤として使用されます。しかし、人体に対する毒性が非常に高く、蒸気を吸入したり皮膚に触れたりすると中枢神経障害などを引き起こす危険性があります。
特有の臭気を持つ無色透明の液体で、主にオフセット印刷における湿し水の添加剤や機材の洗浄剤として使用されます。表面張力を下げて水とインキのバランスを安定させる効果があります。イソプロピルアルコール(IPA)もVOC排出規制の対象であり、環境保護の観点から大気放出を抑える必要があります。
溶剤回収を行う前の基礎的な対策として、溶剤のムダな蒸発を防ぐことが有効です。印刷機のインキパンに当たる風を市販のロールカーテン等で遮ることで、溶剤の蒸発量を少なくできます。また、洗浄槽に金属製のフタをして密閉化することでも、有機溶剤が装置外へ出るのを防ぐことができ、作業環境の改善と原材料費の削減につながります。
印刷やラミネート工程で使用する溶剤の種類を絞ることも重要です。ラミネート工程において酢酸エチルの単一溶剤を使用している場合、回収が容易になります。活性炭吸着などを利用して単一の有機溶剤を回収することにより、処理効率を高く維持することが可能です。回収した溶剤を再利用することで、環境負荷を低減しながら循環型の製造体制を構築できます。
ドライラミネート工程における溶剤回収の事例を紹介します。同工場では、使用している有機溶剤が酢酸エチルの単一溶剤であり、回収が容易であるという特性を活かし、活性炭吸着による回収装置を導入しました。
この装置によって溶剤を効率よく回収し、工程から排出されるVOCの排出量削減に貢献しています。
印刷業界では多量の有機溶剤が使用されるため、VOCの大気排出抑制が課題となっています。インキパンや洗浄槽の密閉による蒸発防止といった基礎対策に加え、活性炭吸着などを利用した溶剤回収装置の導入が効果的です。
単一溶剤を使用する工程では高い回収効率を実現でき、VOC排出量の大幅な削減と溶剤再利用によるコスト削減の両立が可能です。大気汚染防止法の規制値をクリアし、持続可能な経営に貢献します。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)
99%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)