溶剤回収装置は、使用済みの廃溶剤から不純物を除去し、再利用可能な溶剤を回収する装置です。本記事では、各方式の特徴や適用範囲を詳しく解説し、どの業界でどの装置が有効かを紹介。導入を検討している方はもちろん、環境対策やコスト削減に関心のある方にも役立つ内容です。適切な回収方法を知ることで、効率的な溶剤の再利用が可能になります。
混合物を加熱して各成分の沸点の違いを利用し、気化・凝縮させて分離・精製する方法です。主に有機溶剤や揮発性溶剤の再生に適しており、工業分野や製造業で広く利用されています。
蒸留式溶剤回収装置は、沸点が250度以下の溶剤であればほとんどのものを再生することが可能(※)であり、さらに高純度、高回収率が見込めるという点が大きな魅力です。一方で適していない溶剤もあるので、導入の際には注意してください。
VOCを含む排ガスから溶剤を効率的に回収・再利用するための装置です。主に活性炭や特殊な吸着材を用いて排ガス中の有害物質を除去し、環境規制への対応やコスト削減を実現。省エネルギーで操作やメンテナンスが用意なことから、さまざまな産業分野で活用されています。
吸着式溶剤回収装置には、脱着方式によって仕組みや適した溶剤が異なります。導入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
膜分離式溶剤回収装置は、特殊な膜を用いて溶剤を分離・回収する省エネルギー技術です。従来の蒸留法や吸着法に比べ、低温・低圧で動作し、溶剤を効率的に回収できます。工場の溶剤リサイクルやVOC排出抑制に貢献し、環境規制への対応も可能です。
工場や生産ラインで使用される溶剤は、そのまま排出すると環境負荷の原因になります。しかし、適切な回収技術を導入することで、溶剤を再利用しながら排出量を削減することが可能です。その一つが冷却凝縮式溶剤回収装置。低温で溶剤を凝縮し、液体として回収するこの装置は、省エネルギーで効率的な溶剤管理を実現します。
フラッシュ蒸発式回収装置は、高温の液体を減圧で瞬間的に蒸発させる技術を活用し、化学分野や海水淡水化、溶剤回収などで導入が進められています。装置には、構造が比較的シンプルな単段方式と、効率的な処理が可能な多段方式があり、それぞれ特徴や適用分野が異なります。導入に際しては、処理対象の液性や省エネ性能、サポート体制なども含めて検討することが重要です。フラッシュ蒸発技術の活用例や装置選定のポイントを紹介します。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など
95%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)