ノルマルデカン

ノルマルデカンとは?

炭素数10の直鎖状アルカンに分類される化合物で、化学式はC₁₀H₂₂です。石油や軽油などの成分の一部としても含まれる物質であり、主に工業用の溶剤や標準燃料として広く用いられています。常温では無色透明の液体で、においはわずかにガソリン様の芳香を感じることがあります。引火性があり、取り扱いには注意が必要な化学物質です。

ノルマルデカン(n-デカン)はその非極性という性質から、多くの有機化合物に対して良好な溶解性を示します。単一成分として構造が単純であることから、分析用の標準物質や、抽出溶媒としても活用されており、化学的に扱いやすい物質です。

ノルマルデカンの基本特性

ノルマルデカンの分子量は142.29、融点はおよそ-30℃、沸点は約174℃です。比重は水より軽く、密度は0.73(20℃)程度となっています。水にはほとんど溶けませんが、有機溶剤にはよく溶けます。引火点は約46℃で、発火点(自己発火温度)は208℃とされており、消防法では危険物第四類・第二石油類(非水溶性)に分類。空気中での爆発範囲は下限0.8vol%前後となっており、可燃性蒸気を形成しやすいため、火気の近くでの使用は厳禁となっています。

毒性については、急性毒性は低いとされていますが、誤って飲み込んだ場合に気道に侵入し、化学性肺炎を引き起こすおそれがあるため、注意が必要です。また、長時間の皮膚接触は皮膚を刺激する可能性があり、適切な保護具の着用が推奨されます。

ノルマルデカンの主な用途

さまざまな分野で多用途に利用されており、代表的な用途は以下の通りです。

溶剤としての用途が一般的で、工業用の脱脂剤・塗料の希釈剤・印刷インキの溶剤・接着剤製造など、幅広い産業プロセスで使用されています。ノルマルデカンは非極性溶媒であり、油脂や有機汚れをよく溶かす特性を持っている溶剤。

燃料研究の分野では、ノルマルデカンがディーゼル燃料のモデル化合物として利用されています。燃焼特性や排ガス評価を行う際の基準物質として適しているためです。

環境分析や化学実験においても、抽出溶媒やクロマトグラフィー用の標準物質として活用されています。分析分野では、高純度なノルマルデカンが土壌や水質の有機物分析に用いられます。

ノルマルデカン環境への影響と規制

揮発性有機化合物(VOC)の一種であるノルマルデカンは、大気中に放出されると光化学スモッグや二次粒子生成の要因となります。そのため、大気汚染防止法ではVOC排出削減の対象物質に指定されている溶剤です。

水環境への影響としては水に不溶なため、漏出時には水面に膜を形成して浮遊することがあります。水生生物への影響や生物濃縮が懸念されるほか、地下水や土壌への浸透・残留のリスクも指摘されています。日本の化学物質排出移動量届出制度(PRTR)では、ノルマルデカンは届出対象外となっていますが、消防法や労働安全衛生法では「表示・通知対象物」に指定。

国際的にも、EUのREACH規則では登録対象であり、各国で一定の管理が求められています。

ノルマルデカンに対する環境対策

使用量の削減や代替物質への置き換えが基本となります。例えば、水系洗浄剤や低揮発性溶剤の導入により、大気への排出を抑えることが可能です。排出されたVOCを回収・処理する技術としては、「活性炭吸着法」や「冷却凝縮法」が挙げられます。これらは工場などの排気中に含まれるノルマルデカンを物理的に回収し、再利用につなげる方法です。再蒸留によって高純度なノルマルデカンを再び利用できるため、環境保護だけでなくコスト面でも有効と言えます。

回収が困難なケースでは、低温でも酸化分解できるようにする「触媒燃焼」や「直接燃焼」によって無害化処理が行われます。ノルマルデカンを二酸化炭素と水に分解する方法で、環境への影響を軽減する手段のひとつ。廃液や漏出に対しては、法令に基づく適正な廃棄処理や土壌回収が必要なため、オイルフェンスの設置や表土の除去といった初動対応も重要なポイントです。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

反応・合成・洗浄工程で発生する
溶剤の排水回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)

回収率(目安)
                               

99%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18