溶剤は、他の物質を溶解する能力を持つ液体であり、工業や製造業、日常生活において幅広く使用されています。しかし、揮発性有機化合物 (VOC) として大気汚染の原因となる場合があり、適切な管理と回収が必要です。
溶剤回収装置は、使用済みの溶剤から不純物を除去し、再利用可能な状態に戻すための装置です。主な回収方法としては、蒸留法や吸着法、膜分離法などがあり、処理する溶剤の種類や量に応じて適切な方法が選択されます。
トルエン・キシレンは、どちらも塗装・印刷・接着・化学製品製造など、さまざまな業界で欠かせない存在です。しかし、取り扱いに注意が必要な揮発性有機化合物(VOC)でもあるため、企業は適切な管理と回収が求められます。
本記事では、トルエン・キシレンの特徴や注意点、効率的に回収するための回収装置の選び方についてまとめました。
ミネラルスピリットは、高い溶解力と適度な揮発性を持つ石油系の溶剤。塗料工業や製造業をはじめ、さまざまな分野で使用されています。一方で、揮引火性が高いという特性があり、約43度の低い温度でも引火の危険性を持っている溶剤です。
本記事では、ミネラルスピリットの特性と用途を解説し、安全に処理するための溶剤回収装置の特徴を紹介します。
ミネラル・スピリットの特徴と
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ヘキサンは、揮発性と溶解力に優れた炭化水素です。その特性から、化学工業や食品産業、電子部品業界で幅広く利用されています。しかし、大気中に放出されると光化学スモッグの原因となることから、企業は国内の規制に沿った対策が必要です。
本記事では、ヘキサンの基本特性と用途に加え、安全性や環境への配慮を考慮した溶剤回収装置の仕組みや選定基準を解説しています。
イソヘキサンは、化学工業や食品工業などで広く利用される溶剤です。揮発性の高さによる環境や健康への影響が懸念されており、適切な管理と回収が求められます。イソヘキサン溶剤回収装置は、高い揮発性を持つイソヘキサンを効率的に回収し、再利用を可能にする装置です。
本記事では、イソヘキサンの持つ特徴や、溶剤回収装置の必要性について解説します。
ナフサは石油精製で得られる炭化水素の混合物で、石油化学製品の原料や溶剤、燃料など幅広い用途を持ちます。ナフサ溶剤回収装置を導入することで、廃棄物削減や環境規制への対応、生産性向上を実現。
本記事では、ナフサの基本情報から装置の選定ポイントと導入効果までを解説します。
ナフサの溶剤回収装置の特徴と
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N-メチル-2-ピロリドン(NMP)は、化学工業から電子部品製造、医薬品開発に至るまで幅広い分野で使用される溶剤です。その優れた特性と幅広い用途により重宝される一方で、環境規制や安全管理の重要性が増しています。
NMP溶剤回収装置の基本的な仕組みや選定基準、導入によって得られるコスト削減や環境負荷軽減のメリットについて解説します。
N-メチル-2-ピロリドンの特徴と
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溶剤回収装置を選定する際には、回収対象の溶剤の特性に合った方式を選ぶことが重要です。
例えば、ミネラルスピリットのように沸点が130~230度と比較的高い溶剤には、蒸留式が適しています。これは、加熱によって溶剤を蒸発させ、不純物を除去した後に冷却・凝縮して再利用できるため、高純度の回収が可能です。
一方、低沸点で揮発性の高い溶剤(アセトンやトルエンなど)には、吸着式(活性炭やゼオライトを用いた回収)が適しています。吸着方式は、溶剤蒸気を吸着し、後に加熱して再生する仕組みであり、密閉型プロセスでのVOC排出削減にも貢献します。選定時には、対象溶剤の沸点・揮発性・使用量・純度要求などを考慮することが求められます。
溶剤回収装置を導入する際には、作業者の安全と事故リスクを低減するための設計が不可欠です。特に、沸点が低く引火性が高い溶剤に対しては、防爆仕様の装置が必須。防爆モーターや防爆センサーを備えた機器、電気火花が発生しない設計のものを選ぶことが推奨されます。
また、密閉構造の採用により、作業場への溶剤蒸気の漏出を防ぐことも重要です。VOC(揮発性有機化合物)の排出を最小限に抑えることで、作業者の健康リスク(頭痛・めまい・神経障害など)を軽減し、環境負荷の低減にもつながります。
さらに、溶剤回収装置の設置場所は、適切な換気設備が整っていることが条件となります。事前に労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則に基づく安全管理を行い、規制を遵守した装置を選定することが不可欠です。
溶剤回収装置を導入する際には、長期的なコスト面を考慮することが重要です。初期導入費用だけでなく、運転時のエネルギー消費、消耗部品の交換頻度、メンテナンスコストなどを考慮したトータルコストで比較することが求められます。
例えば、蒸留方式では加熱に必要な電力消費量が大きくなるため、ランニングコストが高くなる可能性があります。一方で、吸着方式では活性炭や吸着材の交換・再生コストが発生するため、使用頻度によっては維持費がかさむケースも想定しておきましょう。
また、メンテナンスのしやすさも選定基準の一つ。清掃や部品交換の頻度が多い装置は、作業効率やダウンタイム(稼働停止時間)に影響を与えるため、運用負担が少ない設計の装置を選ぶことが望ましいです。装置メーカーが提供するアフターサービスやメンテナンス契約の有無もチェックし、総合的にコストと運用性を評価することが必要です。
溶剤の種類や特性を正確に理解し、それに適した回収装置を選定することが重要です。専門家への相談や溶剤特性の詳細な調査を行い、適切な装置を導入することをおすすめします。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など
95%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)