吸収冷却式回収装置

吸収冷却式回収装置の概要

吸収冷却式回収装置は、さまざまなエネルギーを活用して冷却を行う装置です。冷房や熱源のエネルギーを効率化するという目的も持っていますが、VOC(揮発性有機化合物)などの揮発成分を冷却・凝集して回収を行う、という用途にも用いられています。こちらの技術は、塗装業界や印刷業界、化学、製薬業界など、幅広い業界で活用されています。

また、吸収冷却式回収装置の場合、「吸収液」と「冷却機構」を組み合わせたハイブリッド処理を行うことがポイントのひとつです。これは、単一の方式の場合には実現しにくい、「高効率」、「省エネ」、「高純度」な回収を可能にすることを目的としています。

吸収冷却式の構造と仕組み

吸収冷却式回収装置は、主に下記の4つが主要構成となっています(下記のほか、冷媒の循環ポンプや熱交換器、冷却水系統、吸収液などが付随することになります)。

  • 蒸発器:冷媒(水)を低温低圧で蒸発させることによって、冷却効果を得ます
  • 吸収器:蒸発した冷媒(水蒸気)を、吸収液(臭化リチウム)に吸収させます
  • 再生器(発生器):吸収液を加熱することで、冷媒(水蒸気)を分離・再生させます
  • 凝縮器:再生された冷媒(水蒸気)を冷却・凝縮して、再び液体に戻します

また、吸収冷却式回収装置の具体的な仕組みと原理は下記の通りです。

  • 蒸発工程
    蒸発器内をほぼ真空の状態にして、水の沸点を7~10℃程度まで下げて冷媒(水)を蒸発させます。ここで気化熱を利用し周囲から熱を奪うことによって、冷却効果が生じます
  • 吸収工程
    前の工程で蒸発した水蒸気は吸収器に送られ、吸収液(臭化リチウム)に吸収されることで薄い吸収液になります。吸収時には吸収熱が発生するため、冷却水で吸収器を冷やします
  • 再生工程
    吸収液ポンプによって薄い吸収液が再生器に送られた後、外部からの熱で加熱を行います。吸収液から水蒸気が分離して、水が除かれて濃くなった吸収液は吸収器へ戻されます
  • 凝縮工程
    再生器で発生した水蒸気は凝縮器に送られ、冷却水で冷やされて液体に戻ります。液体冷媒は膨張弁を通って再び蒸発器へ戻り、サイクルが繰り返されます

吸収冷却式回収装置では吸収液として臭化リチウムが利用されていますが、その特徴として「水に対して高い親和性を持っている」という点が挙げられます。そして水に溶けている場合、臭化リチウムの沸点は水の沸点よりもかなり高いため、再生器にて簡単に分離ができるというメリットがあります。

他の溶剤回収方式との違い

冷却凝縮式との違い

冷却凝縮式も吸収冷却式も、いずれもVOCなどの揮発成分を冷やし、液体に戻して回収をすることを目的としている方式ですが、冷却の仕組みが大きく異なっている点がポイントです。冷却凝縮式は電気を使用するものの、吸収冷却式の場合は電気をほとんど使用せずにさまざまな熱エネルギーを利用するため、エネルギー効率が良く環境にやさしい方法とされています。

吸着式との違い

続いて、吸着式と吸収冷却式の違いについて見ていきましょう。

この2つの大きな違いは、吸着式の場合には排ガスを活性炭などの吸着剤に通過させるというプロセスを踏んで溶剤を回収する仕組みになっている、という点です。その後は、吸着剤に熱や蒸気を供給することによって吸着された溶剤を脱着。この脱着した溶剤ガスを冷却し、液体状態に凝縮させるという流れになります。

それに対して吸収冷却式の場合は活性炭などの吸着剤は使用しません。

吸収冷却式のメリット・デメリット

吸収冷却式回収装置にはさまざまなメリットがありますが、その反面デメリットとなる可能性があるポイントもあります。導入を検討している・こちらの装置について知りたいといった場合には、メリットとデメリットの両面について知っておくことが大切です。

まず、この装置が持つメリットとして挙げられるのが、「高効率である」という点です。特に工場の排熱がある場合には、省エネかつランニングコストを抑えることが可能になります。さらに、連続での処理が可能である点や、回収物の再利用性といった点がメリットとして挙げられます。冷却エネルギーとして廃熱を再利用することもできます。

上記のようなメリットがある反面、吸収冷却式回収装置にはデメリットもあります。吸収冷却式回収装置は、吸収液として臭化リチウムやアンモニアを使用するためにその管理作業が発生する点や、冷却源のコストがデメリットとなる可能性があります。

導入時のチェックポイント

吸収冷却式回収装置を導入するにあたっては、あらかじめチェックしておきたい部分がいくつかあります。

例えば、回収の対象としている成分と、吸収液の適合性について確認しておくことが大切です。さらに、冷却装置の能力やメンテナンス性も確認しておいてください。特にメンテナンスは、装置の安定稼働や故障の防止などさまざまな点につながってくるため、メンテナンス性が高い機器を選択するようにしてください。

また、省エネ性やランニングコストについても確認しておきます。装置を選ぶ中では、いくつかの機種に絞り込み、見積もりを手に入れた上で、じっくりと機能やコスト面などについて比較を行いながら、どの機器を導入するか検討していくことがおすすめです。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

反応・合成・洗浄工程で発生する
溶剤の排水回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)

回収率(目安)
                               

99%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18