超臨界流体回収装置

超臨界流体技術は、主に高度な溶剤の再生・精製や、特定物質の抽出に用いられる専門的な技術です。 溶剤液(廃液)の精製・再利用を目的とされている場合は本ページを、VOCガス(排ガス)の規制対応を目的とされている場合は、排ガス処理に特化した【VOC処理装置の種類と選び方】ページををご参照ください。

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超臨界流体とは

超臨界流体回収装置とは、超臨界状態の流体を利用する装置です。こちらの装置は、主に環境保護やエネルギー効率の向上を目的としており、幅広く利用されています。

ここで、「超臨界状態」とはどのようなものなのか、という点を見ていきましょう。気体を等温下で圧力上げていき、飽和蒸気圧にすると液化が始まりますが、ある温度以上では、気体を等温圧縮したとしても液化しません。このような状況の場合、気体と液体が共存できる限界の温度と圧力を超えた状態にあるということであり、この状態を「超臨界状態」といいます。

超臨界流体としてよく用いられている物質としては、水と二酸化炭素が挙げられます。この2つは共に毒性や燃焼性がない上に、自然界に大量に存在しています。どのように利用されているかというと、例えば二酸化炭素の場合、臨界温度が室温に近いことから、熱変性を起こしやすい天然物の抽出や分離に多く利用されています。

また、水は臨界温度が高いことから、加水分解や酸化反応など反応場としての利用が多く検討されます。超臨界状態の水は、誘電率が低いために樹脂や油などの有機物をよく溶解しますが、金属など無機物における溶解度は低くなっています。この特徴を利用することによって、有機物と有価金属が混合した廃棄物から、金属のみを効率的に回収する、といったこともできます。

超臨界流体回収装置の仕組み

超臨界流体回収装置は、下記の主要な要素から構成されています。

  • 高圧ポンプ:二酸化炭素を高圧に昇圧して、超臨界状態にする役割を果たすポンプです
  • 抽出器:超臨界流体が対象とする物質に接触して成分を抽出します。ここでの圧力と温度が制御されることにより、抽出効率が向上します
  • 分離装置:抽出された成分を回収するための装置。超臨界流体を減圧することによって、目的としている成分の分離を行います

この装置を使用する場合、目的の物質を回収するプロセスは下記の通りです。

  • 原料を用意する:回収対象を抽出槽に入れます
  • 二酸化炭素を超臨界状態にする:高圧ポンプにより二酸化炭素を圧縮し、さらに加熱器を使用することで超臨界状態を作ります。二酸化炭素は、その臨界温度と臨海圧力を越えると、超臨界二酸化炭素となります
  • 抽出:超臨界二酸化炭素を抽出槽に送り込み、減量中の有用成分を選択的に溶かします。溶け込んだ二酸化炭素は、抽出物を含む流体になります
  • 分離・回収:抽出流体を減圧・冷却して二酸化炭素を気化させると、抽出された成分が分離・沈降することによってタンクやセパレーターに目的の物質が回収されます
  • 排出:回収された成分は、容器に移されて製品化されます。また、分離する際に気化された二酸化炭素は冷却・再圧縮して再利用されます

また、こちらの装置の場合安全対策が非常に重要といえます。数十から数百気圧という高い圧力と高温下での作業を行うことになりますので、高圧への対策や安全弁、素材といった部分を十分に確認しておくことが大切です。

活用される用途・分野

超臨界流体回収装置はさまざまな用途や分野で使用されています。

例えば、食料や香料、薬品の原料となる成分を選択的に抽出する際に、超臨界流体回収装置が使用されています。この時、超臨界二酸化炭素を使用しますが、この方法は、従来の有機溶媒を使用した抽出よりも環境にやさしいと評価されています。カフェインの除去や香料の抽出などを行う際に活用されています。

そのほかにも半導体の洗浄・乾燥処理や、高分子材料の微細化といった用途にも用いられています。

他方式との違い・比較

超臨界回収装置は、従来用いられてきた蒸留法や溶媒抽出法とは原理や特性が大きく異なります。例えば、超臨界流体回収の場合は選択性が高く、環境にもやさしいという特徴があります。さらに、高精度・高純度の抽出を行うことが可能です。

蒸留の場合は、仕組みは単純でありコストが安価です。沸点差を利用することになるため高温処理が必要であり、熱分解や変性のリスクがあるといえます。

そして、溶媒抽出の場合は、簡単で汎用性が高いものの、溶媒の購入や再生、廃棄といった管理が必要となります。

超臨界回収装置のメリット・デメリット

こちらの記事でご紹介してきた超臨界装置にはさまざまなメリットがありますが、その反面デメリットといえる部分もいくつかあります。この装置について情報を得たい、導入を行いたいと考える場合には、メリット・デメリットの双方について知っておくことが大切です。

まずメリットについてですが、超臨界回収装置が持つ特徴のひとつとして、高い選択性が挙げられます。この特徴により、目的としている成分のみの抽出が可能となります。抽出は常温近くの環境で処理を行うことが可能であるため、熱に弱い成分にも対応できます。さらに、成分を抽出する際に有機溶媒を使用しないため、環境負荷が低い点も注目したいポイントです。

また、抽出後二酸化炭素は気化して再利用が可能となるため、ランニングコストの低減につながっているといえます。

デメリットとして挙げられるのは、超臨界回収装置を使用する場合には、高圧(数十から数百気圧)設備が必要となるために設備費が高価になる点や、高圧・高温化での運転となることから、装置の運転制御が難しい点が挙げられます。そして、連続大量処理は難しい分野もあり、小規模処理が主流となります。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

反応・合成・洗浄工程で発生する
溶剤の排水回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)

回収率(目安)
                               

99%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18