溶剤回収装置ガイド
大気汚染防止法をはじめとする厳しい規制対応と、ランニングコスト削減を求められる開発・製造現場において、用途別におすすめの溶剤回収装置を厳選紹介しています。
大気汚染防止法をはじめとする厳しい規制対応と、ランニングコスト削減を求められる開発・製造現場において、用途別におすすめの溶剤回収装置を厳選紹介しています。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場の製造工程で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、VOC排出規制など法規対応、溶剤リサイクルによるランニングコスト削減、環境配慮など、さまざまな効果を得ることができます。
一方で、溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、得意とする対象溶剤などが異なるため、用途に合わせて選ぶのがおすすめです。ここでは、用途別に3製品を厳選紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など
95%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)
1972年に「VOC排気ガス処理装置」を発売して以来、50年以上にわたり溶剤再利用や環境負荷低減に貢献してきた栗本鐵工所。
豊富なノウハウを活かした「蒸気脱着式溶剤回収装置」は、粒状活性炭により、VOCガスに対する高い除去性能を持つ装置です。入り口濃度が変動しても安定した性能を発揮できる上、連続運転により効率的に回収できます。
炭化水素系(トルエン、キシレン、ベンゼン)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール系(IPA、メチルアルコール、エチルアルコール)など。フッ素系(フロン類の工業用洗剤)などにも対応が可能です。
栗本鐵工所は、1909年創立の鋳鉄管メーカーです。「社会インフラ」と「産業設備」を事業の柱として、ライフラインを築く製品や、さまざまな産業設備を提供しています。
連続式粉体プロセス産業設備における豊富な技術力を有し、溶剤回収装置装置と組み合わせたシステム提案にも対応。高濃度溶剤乾燥設備からの揮発ガス処理、主反応設備からの揮発ガス処理等の実績があります。
会社名 | 株式会社栗本鐵工所 |
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所在地 | 大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号 |
ファインケミカル製品の精製事業に特化してきたノウハウを活かし、医薬・農薬品原体の合成工程で発生する排水処理に適した装置を開発。塩素系溶剤と水との揮発性の差を利用して、排水中から溶剤を分離除去。クローズド型で非接触式の真空ポンプを活用しており、安全に回収します。
減圧蒸留にも対応し、沸点の低い溶剤に対しても大量処理が可能です。
塩素化合物(ジクロロメタン、1-2ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタンなど)、エーテル類、ケトン類、窒素化合物など。水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤を含む廃液処理に有効です。
岐阜県安八郡を拠点とする、有機溶剤のリサイクルメーカーです。使用済みの有機溶剤を引き取り、精製して販売する精製リサイクル事業をメインに、リサイクル設備の設計販売なども行っています。
廃棄物を再利用する「マテリアルリサイクル」では国内で豊富な実績を構築。限りある資源の再利用によって、環境保護に貢献しています。
会社名 | 日本リファイン株式会社 |
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所在地 | 岐阜県安八郡輪之内町中郷新田2574-1 |
複数蒸留方式を組み合わせる「多重効用蒸留方式」により、省エネかつ高純度で回収可能。納入実績では、10%のDMF原液から純度99.8%以上のDMFを回収。さらに排水中のDMF濃度も20ppm以下に抑えており、環境への影響を抑えています(※)。「水和物をつくってしまう」「人体に影響を与える」といった課題を解決できる、無人・自動化装置である点も特徴です。
※参照元:日本化学機械製造(https://nikkaki-kankyo.jp/haieki/04.html)2025年1月16日調査時点
DMF(ジメチルホルムアミド)ほか、アセトン、酢酸エチルなどの溶剤や、ポリマーなどを含有していても回収が可能。
日本化学機械製造は、1938(昭和13)年設立、大阪市に拠点を持つプラントエンジニアリングメーカーです。工場施設に必要な各種製造プラントの設計・製作・建設工事、地球環境保全につながるプラント・設備などを設計・製造。
培った技術やノウハウを活かし、日本のみならずアジア諸国でも地球環境保全に貢献しています。
会社名 | 日本化学機械製造株式会社 |
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所在地 | 大阪府大阪市淀川区加島4丁目6番23号-1 |
ここでは、各種溶剤回収装置を取り扱うメーカーを簡単にご紹介します。自社に合う装置選びをしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
大阪を拠点に、ライフラインを築く製品や、さまざまな産業設備を提供しているメーカーです。VOCガスの溶剤を回収する「蒸気脱着式溶剤回収装置」を販売しています。
所在地 | 大阪市西区北堀江1-12-19 |
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電話番号 | 06-6538-7731 |
公式HP | https://www.kurimoto.co.jp/ |
世界中で快適な空気環境を創出している開発メーカーです。バッテリーの製造工程で発生する排気から有機溶剤を回収する「有機溶剤回収システム」を提供しています。
所在地 | 福岡県古賀市青柳3108-3 |
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電話番号 | (代表)092-942-3511 |
公式HP | https://seibu-giken.com/ |
アジア圏を中心に実績を重ねている排ガス・脱臭処理装置の専門メーカーです。販売している溶剤回収装置は、高濃度ガスや腐食性ガスにも対応しています。
所在地 | 京都府長岡京市神足太田30-2 |
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電話番号 | 075-955-8823 |
公式HP | https://www.kanken-techno.co.jp/ |
VOC含有ガスから有機溶剤を回収できる「K-FILTER®」を販売しています。優れた除去回収率を実現。ランニングコストや高さ規制に配慮した設計が特徴です。
所在地 | 大阪府大阪市北区梅田1-13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス |
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電話番号 | 06-6348-3101 |
公式HP | https://www.toyobo-mc.jp/ |
NMP、DMSO、DMAC、MEA、GBL、NH3などに対応する溶剤回収装置を販売しています。ルーツ式ヒートポンプと組み合わせて、熱のリサイクルと省エネを実現することが可能です。
所在地 | 大阪府大阪市西淀川区竹島4-7-32 |
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電話番号 | 06-6473-2131 |
公式HP | https://www.sasakura.co.jp/ |
大阪市を拠点に、各種製造プラントの設計・製作・建設工事を行っています。販売する「DMF回収装置」なら、高純度のDMFを回収することができます。
所在地 | 大阪府大阪市淀川区加島4-6-23 |
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電話番号 | 06-6308-3881 |
公式HP | https://www.nikkaki.co.jp/ |
蒸気不要で溶剤を回収できる「PSA式溶剤回収装置」を販売しています。内圧の変化によって吸着/脱着を行う圧力スイング吸着装置。希薄VOCからの処理が可能です。
所在地 | 東京都中央区晴海3-5-1 |
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電話番号 | 03-6758-2312 |
公式HP | https://www.tske.co.jp/index.html |
廃溶剤液から溶剤の有効成分だけを回収できる溶剤回収装置「CSRシリーズ」を提供しています。防爆仕様と遠隔操作で、高い安全性を確保しているのが特徴です。
所在地 | 愛媛県今治市北高下町2-2-23 |
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電話番号 | 0898-23-6660 |
公式HP | https://www.conhira.com/ |
大阪府枚方市を拠点に、工業用乾燥機や熱処理炉の設計制作を行っています。溶剤回収装置は、東洋紡株式会社のKフィルターVOC(揮発性有機化合物)回収装置を扱っています。
所在地 | 大阪府枚方市津田山手2-9-3 |
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電話番号 | 072-808-3055 |
公式HP | https://www.shimakawa.co.jp/ |
有機溶剤の総合装置メーカーとして実績豊富。小型溶剤回収装置CA-100シリーズや真空蒸留連続回収装置CA-800シリーズなどを販売しています。
所在地 | 兵庫県神戸市中央区港島南町4-2-12 |
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電話番号 | 078-303-2501 |
公式HP | https://www.kobex.co.jp/ |
廃棄物削減と資源循環型社会の構築に取り組む企業。主力製品「ソルピコ」は、高効率な分離技術と省エネルギー設計を兼ね備え、現場での負担を軽減しながらコスト削減に寄与します。
所在地 | 岐阜県安八郡輪之内町中郷新田2574-1 |
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電話番号 | 0584-69-3155 |
公式HP | https://n-refine.co.jp/ |
VOCガスから溶剤を液化回収する溶剤回収装置「ソルベントリカ®」を販売しています。装置を長く快適に使うための定期点検や緊急修理にも対応しています。
所在地 | 静岡県駿東郡長泉町上土狩234 |
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電話番号 | (代表)055-987-1087 |
公式HP | https://www.t-cec.co.jp/ |
カナダの電気機械メーカー・ユニラム社の日本総代理店として、連続式の溶剤再生装置「DC 100NJ」、バッチ式の溶剤再生装置「CC70NJ」を取り扱っています。
所在地 | 千葉県千葉市稲毛区六方町90-3 |
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電話番号 | 043-304-8885 |
公式HP | https://www.uniram-japan.com/ |
岡山市を拠点に、理化学機器の開発・製造・販売、化学技術関連のコンサルティングなどを行っている企業です。有機溶媒の回収装置でも製造実績豊富です。
所在地 | 岡山県岡山市北区牟佐874-5 |
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電話番号 | 086-229-9521 |
公式HP | https://techno-sigma.co.jp/ |
回収率99%※、廃液を入れるだけで再生液を回収できる溶剤回収装置「OK-GREEN1」を販売しています。各種洗浄機と接続して使用することも可能です。
※参照元:大川興産(http://ohkawa-kohsan.com/products/details.html#souchi-06)2025年1月17日調査時点
所在地 | 大阪府大阪市淀川区西中島7-12-5 日宝北2号館3F |
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電話番号 | 06-6304-9191 |
公式HP | http://ohkawa-kohsan.com/ |
溶剤回収装置は、独自の「圧縮深冷凝縮方式」を採用。臭素系や塩素系など多様な溶剤に対応しており、冷却水不要の空冷タイプも選択可能です。
所在地 | 大阪府大阪市中央区道修町1-7-10 |
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電話番号 | 06-6203-1891 |
公式HP | https://www.nisshinkasei.co.jp/index.html |
炭酸水素ガスを回収できる「HC-VRU」、VOCを回収する「VOC-VRU」、熱源を使用しない「VOC-VRU」など、さまざまな溶剤回収装置を販売しています。
所在地 | 千葉県千葉市花見川区幕張本郷7-21-26 |
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電話番号 | 043-350-3730 |
公式HP | https://www.system-eng.co.jp/ |
福岡県北九州市を拠点に、溶剤回収装置や溶剤ガス回収装置を販売しています。関西ペイントやJR西日本、米国海軍(横須賀・那覇)など納入実績も豊富です。
所在地 | 福岡県北九州市小倉北区大手町16-1-505 |
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電話番号 | 093-592-2122 |
公式HP | https://www.kleen-tec.co.jp/ |
コンパクト化・低価格・メンテナンスフリーを実現した溶剤回収装置「Take」を提供。次世代フッ素系溶剤・ハイドロフルオロオレフィン(HFO)類に対応しています。
所在地 | 大阪府大阪市大正区南恩加島5-8-6 |
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電話番号 | 06-4394-5008 |
公式HP | https://www.take-gen.com/ |
三重県鳥羽市を拠点に、環境装置のシステムを設計・製造。アセトン、アルコール、トルエン、シンナー、MEK、NMPなどに対応する溶剤回収装置も販売しています。
所在地 | 三重県鳥羽市安楽島町1045-55-303 |
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電話番号 | 0599-25-1680 |
公式HP | https://www.pritechno.com/ |
世界的な溶剤回収装置メーカー・フォルメコ社の日本正規代理店です。小型機・中型機・大型機、専用プラントなど幅広い回収装置をラインナップしています。
所在地 | 千葉県千葉市美浜区打瀬3-5 マリンフォート4-1502 |
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電話番号 | 090-5307-9020 |
公式HP | https://formeco.jp/ |
溶剤回収装置は、使用する溶剤に合わせて選ぶのがおすすめです。ここでは、各分野で使用される溶剤の特徴と、回収装置の選び方について解説します。
高い溶解力を持ち、揮発性があるトルエンとキシレン。VOCとして排出されると大気汚染や健康被害の原因になるため、規制をクリアできる高性能な回収装置を選ぶのがおすすめです。
炭化水素系溶剤で、高い溶解力と適度な揮発性を持つ液体です。揮発性によるVOC排出が課題となるため、溶剤回収装置を選ぶ際は、VOC排出削減効果と運用方法などをよく確認しましょう。
沸点が69°Cと低く、蒸留による回収が簡単に行えます。回収装置には蒸留方式や吸着方式があるため、容量や安全性、省エネルギー性能などに注目して選んでみてください。
高い揮発性と溶解力を特徴とする溶剤です。毒性は低いものの、揮発性による火災リスクや環境への影響が懸念されるため、回収装置は引火性対策が施されたものがおすすめです。
ナフサはガソリンに似た液体で、塗料、接着剤、インクなどの製造工程で溶剤として活用されています。引火点が低く、取り扱い時に注意が必要なので、防爆仕様の回収装置を選ぶと安心です。
電池製造工場などで電解液や洗浄剤として使われているNMP。REACH規則やVOC規制、廃棄物処理法などに則って適切に処理しなくてはなりません。回収装置はNMPの特性に適したものを選びましょう。
コスト削減、環境対策などの観点から注目されている溶剤回収装置。ここでは、溶剤回収装置を導入する際に知っておきたい基礎知識をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
使用済みの溶剤から水分や不純物などを取り除き、溶剤成分だけを回収する装置のことです。高純度の溶剤を取り出して再利用することで、廃棄物を減らしコストを削減することができます。
溶剤は電子部品・精密機械の洗浄、塗装工程、化学薬品の乾燥・反応工程などさまざまな場面で使われています。装置も各メーカーから販売されているため、用途や溶剤の種類などに合わせて選ぶのがおすすめです。
使用済みの溶剤は、法律や規制に従って正しく処理することが大切です。ここでは、大気汚染防止法や廃棄物処理法などについて解説。装置導入の際に活用したい補助金制度もご紹介します。
溶剤回収は、法律を遵守し、正しい方法で行うことが大切です。ここでは、溶剤回収に関する国内外の動向と、法規制について解説します。ぜひチェックしてみてください。
溶剤回収は、「廃棄物処理法」や「大気汚染防止法」、労働安全衛生法」などによって処理法や排出量などが決められています。規制を遵守することで、労働者の安全性向上、環境負荷の軽減、企業の社会的評価向上などのメリットが得られます。