溶剤回収装置の導入では、回収効率やランニング費用と同じくらい、排水量をどれだけ抑えられるかが重要になります。排水が多いほど、処理設備への負荷や維持費が増え、環境対応のハードルも高くなります。近年は企業の環境配慮が求められ、低排水性を備えた溶剤回収装置の選定が必須になりつつあります。
排水量が多い装置では、排水処理に必要な薬剤や電力、沈殿処理やろ過などの運転費が増加します。さらに、排水処理設備の管理や維持点検の頻度も上がり、担当者の負担が大きくなります。結果として、装置そのものの運転費だけでなく、関連する付帯コストの総額が膨らむことが大きな課題になります。
水質汚濁防止法や各自治体の条例では、有害物質やCOD・BODの排出基準が厳格化されています。また、化学・印刷・電子産業では取引先のCSR基準により、自主的な排水負荷の削減が求められるケースも増えています。排水量が多いと基準遵守のための設備費用が増えるため、そもそもの排水発生量を最小化できる装置の重要性が高まっています。
従来型の蒸気脱着方式では、吸着材に溶剤が飽和した際、蒸気を吹き込んで回生するため、大量の凝縮水が発生します。この凝縮水には溶剤が微量混入するため、産業排水として処理が必要になります。蒸気使用量が多いほど排水量も比例して増えるため、排水処理設備の大型化や維持費の増大につながる点が大きな課題です。
真空脱着方式では、吸着材を減圧状態で加熱し、溶剤を気化させて回生します。この方式は水蒸気を使わないため、凝縮水の発生が極めて少なく、排水量を従来比で大幅に削減できます。また、溶剤蒸気は冷却して回収するため溶剤ロスも少なく、回収価値を最大化しやすい点も評価されています。
冷却凝縮法は装置構造がシンプルで排水が発生しにくい反面、冷凍機の電力負荷が高く、低濃度領域では十分な回収効率が得られないケースもあります。また、吸着との組み合わせ方式では排水がほとんど発生しないこともありますが、条件に応じて効率が変動するため、溶剤濃度や処理風量に適合した方式選定が欠かせません。
排水が少ないほど、排水処理に必要な電力や薬品、機器の稼働費用が減少します。さらに、真空脱着方式のように蒸気を使わない方式では、ボイラー設備の負担も軽減できます。結果として、トータルのユーティリティコストを抑えられる点は大きな導入メリットです。
排水量が少ない装置では、沈殿槽・中和槽・ろ過設備などの規模を縮小でき、既存設備の増設や改修も不要になる場合があります。これは設置スペースの削減につながり、工場全体の設備配置を最適化しやすいという利点もあります。
低排水性は環境配慮の指標として評価されやすく、ESG経営やGHG削減を重視する企業において投資意義が高い要素です。排水量を抑えることで、環境負荷の低減とブランド価値向上の両立にも寄与します。
低排水であることは重要ですが、同時に回収効率が低いと溶剤ロスや加熱負荷が増え、結果的に運転費が嵩む可能性があります。真空脱着方式のように、排水量を抑えつつ高い回収効率を維持できる方式を選ぶことが理想的です。風量・濃度・溶剤種類を踏まえ、複数方式の条件適合性を比較することが求められます。
排水処理のしやすさは、運転管理の負荷にも直結します。真空脱着方式のような低排水型は、排水処理設備を簡素化できるため管理が容易です。一方で、凝縮を併用する方式では定期的なドレン管理が必要になることもあります。現場の運用負荷を踏まえつつ、管理のしやすさまで考慮した技術選定が重要になります。
栗本鐵工所は、溶剤回収・VOCガス処理の領域で長年の実績を持つメーカーで、乾燥設備や反応設備から発生する揮発ガスへの対応力に強みがあります。真空脱着方式の溶剤回収装置において、吸着剤に粒状活性炭を用いている点は同社独自の技術であり、多種多様な溶剤ガスに適合しやすいことから、化学・電子・医薬など幅広い現場で採用が進んでいます。
粒状活性炭は入口ガス濃度の大きな変動にも安定して対応でき、溶剤の吸着・脱着を効率よく行えるため、回収品質と運転の安定性を両立しやすい特長があります。また、蒸気を使用しない真空脱着方式のため、従来の蒸気脱着式と比較して排水量を大きく低減できる点も大きなメリットです。これにより排水処理設備の負担を抑えながら、高純度の溶剤を効率よく回収できます。
さらに、粒状活性炭は交換・再生のコストが比較的安価で、吸着剤にかかるランニング費用を抑えられる点も評価されています。装置自体も駆動機器が少なくシンプルな構造のため、故障リスクが低く、装置トラブルが少ない安定運転が可能です。低排水性と高効率、そして運転の信頼性を重視する企業にとって、有力な選択肢となる装置を提供しています。
| 会社名 | 株式会社栗本鐵工所 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府大阪市西区北堀江1-12-19 |
| 電話番号 | 06-6538-7731 |
| 公式HP | https://www.kurimoto.co.jp/index.html |
溶剤回収装置の排水量は、環境対応やコストに直結する重要な指標です。特に排水量が多い蒸気脱着方式は処理負荷が大きく、維持費が増えがちです。一方、真空脱着方式などの低排水型は、コスト削減・設備負担軽減・環境配慮のすべてに効果が期待できます。
装置の選定では、排水量・回収効率・運転費・管理負荷を総合的に見て、現場に適した方式を判断することが重要です。低排水の特性を活かした装置を導入することで、長期的な設備運用の最適化につながります。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)
99%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)