装置・パーツ洗浄

装置・パーツ洗浄とは

装置・パーツ洗浄は、生産設備や治具、コンポーネントに付着した油脂・樹脂・粉体・加工液などの汚染物を除去し、次工程の品質を維持するために行われる重要なクリーニング工程です。特に電子部品、光学機器、化学プラント、食品・医薬製造などでは、洗浄残渣の有無が製品不良や装置トラブルに直結するため、定期的な溶剤洗浄が欠かせません。

このカテゴリでは、洗浄工程で使用される有機溶剤(炭化水素系、アルコール系、エステル系など)の回収に焦点を当て、環境規制対応とコスト削減を両立できる溶剤回収装置の仕組みを解説します。代表的な工程として、脱脂洗浄、フッ素系溶剤を用いた精密部品洗浄、乾燥前の蒸気脱揮などがあります。

装置・パーツ洗浄における主な使用溶剤

用途に応じて、炭化水素系溶剤(ヘキサン、トルエン、キシレン)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール系(IPA、メタノール、エタノール)、およびフッ素系溶剤(HFC・HFIPなど)が使用されます。洗浄力・乾燥速度・安全性・環境影響のバランスを考慮し、最適な溶剤を選択することが求められます。これらの溶剤は揮発性が高く、排気中にVOCが含まれるため、適切な回収・再生を行うことが重要です。

装置・パーツ洗浄における溶剤回収装置の仕組みと選定ポイント

装置・パーツ洗浄における溶剤回収装置の仕組み

装置やパーツの洗浄では、排気中に含まれる有機溶剤蒸気を吸着・冷却・凝縮によって回収します。特に、高濃度溶剤を扱う局所排気では安全性と回収効率の両立が求められます。活性炭吸着塔でVOCを吸着し、一定周期ごとに真空脱着または加熱脱着で溶剤を再生する方式が一般的です。脱着後の溶剤蒸気はコンデンサで液化され、回収タンクへ戻されます。

一方で、従来の蒸気脱着式は再生時に多量の水蒸気を必要とするため、排水量やエネルギー負荷が増加する傾向があります。近年では、水を使わず常温域で再生できる真空脱着(PSA)方式が注目されています。

装置・パーツ洗浄における溶剤回収装置の選定ポイント

洗浄対象や使用溶剤の特性に応じて、処理風量・入口濃度・温度・安全性を精密に設計する必要があります。可燃性溶剤を扱う場合は、静電対策や防爆構造が必須です。また、吸着剤の選定(粒径・種類)や再生方式の効率も、長期的なランニングコストと性能維持に直結します。低風量・高濃度排気には真空脱着方式、高風量・低濃度排気には蒸気脱着式など、現場条件に応じた構成が求められます。

装置・パーツ洗浄における溶剤回収装置の導入メリット

VOC排出を抑えつつ溶剤を再利用できる点が最大の利点です。特に高価な溶剤を使用する現場では、回収再利用によって原料コストを削減し、廃棄物処理量も大幅に減らせます。また、作業環境の改善と法令遵守を同時に実現できることも大きなメリットです。ISO14001やSDGsなど環境マネジメントの観点からも、回収システムの導入は企業価値向上につながります。

【PR】栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置

栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

栗本鐵工所が開発した真空脱着式(PSA)溶剤回収装置は、小風量・高濃度の排気にも対応できる高効率設計で、装置・パーツ洗浄工程に最適です。吸着塔には粒状活性炭を採用し、脱着工程を真空ポンプで行うことで蒸気を一切使用せず、排水量をほぼゼロに抑えます。省エネ性と運転安定性に優れ、再生した溶剤は高純度で再利用が可能です。

真空脱着式溶剤回収装置の特徴

  • 真空脱着方式により水蒸気を使用せずに再生が可能
  • 小風量・高濃度排気処理に対応
  • 濃度変動の大きい排気ラインでも安定した除去性能
  • 蒸気脱着式と比較して排水量を大幅に削減
  • 吸着剤の寿命が長く、交換頻度が少ない
  • 装置構造がシンプルで、メンテナンス負荷が小さい

炭化水素系溶剤回収に適している理由

真空脱着式溶剤回収装置の運転サイクル
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

装置・パーツ洗浄で使用される炭化水素系溶剤は、揮発性が高く発火点が低いため、加熱や蒸気を伴う脱着方式ではリスクが伴います。真空脱着(PSA)方式は、常温で脱着を行うため安全性が高く、火災・爆発リスクを最小化できます。また、真空環境下で効率的に溶剤を分離・凝縮するため、回収液の純度が高く再利用しやすいのが特徴です。局所排気や密閉槽ベントのような小風量排気にも対応し、現場スペースを取らないコンパクト設計も魅力です。

吸着・脱着サイクルが自動制御されるため、夜間や無人運転でも安定稼働が可能です。結果として、高い安全性とコストパフォーマンスを両立できる溶剤回収方式として、多くの洗浄現場で採用が進んでいます。

主な対応溶剤

炭化水素系(トルエン、キシレン、ベンゼン)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール系(IPA、メチルアルコール、エチルアルコール)など。さらに、フッ素系(フロン類の工業用洗剤)など難処理溶剤にも対応可能です。

溶剤回収装置メーカー・栗本鐵工所の概要特徴

同社は活性炭吸着技術をベースに、化学・金属・粉体・エレクトロニクスなど多様な業界に溶剤回収装置を提供してきました。1970年代からの吸着式VOC処理ノウハウを活かし、蒸気脱着式・真空脱着式の両方式で最適なシステム提案を行っています。特に真空脱着式では、排水削減、省エネ、安定運転といった点で高評価を得ています。

まとめ

装置・パーツ洗浄工程では、高濃度かつ可燃性の溶剤排気を安全に処理しながら、再利用を可能にする仕組みが求められます。真空脱着(PSA)方式は、加熱や蒸気を使わず安全・省エネに溶剤を再生できるため、炭化水素系溶剤を扱う現場に理想的です。装置内の清浄度維持、作業者安全、環境対応をすべて満たす回収システムとして、今後ますます導入が進むと考えられます。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

抽出・精製・濃縮工程で発生する
塩素系廃液の溶剤回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など

回収率(目安)

95%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18