ウェハ洗浄・乾燥モジュール

ウェハ洗浄・乾燥モジュールとは

ウェハ洗浄・乾燥モジュールは、フォトリソ後やエッチング後に残留する有機汚染物や微粒子、化学反応副生成物を除去し、表面を均一かつ無欠陥に整えるための重要な工程群です。特に微細化が進む半導体製造では、乾燥ムラや残渣を最小化しつつ高いパーティクル管理を維持することが歩留まりを左右します。装置は薬液系、溶剤系、超純水系、乾燥ユニットなどで構成され、クリーン環境での安定運転が求められます。

このカテゴリでは、とりわけ溶剤を扱う下位工程を取り上げます。例として「有機溶剤脱脂洗浄」は、レジスト残渣や有機汚染物の除去に用いられ、アセトンやNMP、炭化水素系溶剤などを適材適所で使い分けるのが一般的です。「IPAベーパー乾燥」は、超純水リンス後の乾燥に用いられ、表面張力に起因するウォーターマークの抑制とスループット維持に寄与します。

ウェハ洗浄・乾燥モジュールにおける主な使用溶剤

代表例は、乾燥や置換用途で広く用いられるIPA(イソプロピルアルコール)です。IPAは水との相溶性が高く、親水性表面の乾燥時に残留痕を低減しやすいという利点があります。加えて、アセトンやメタノール、エタノール、酢酸エチル、炭化水素系溶剤(トルエン・キシレン等)が脱脂洗浄や置換洗浄で使用されます。選定時は純度、含水率、金属不純物、引火点、蒸気圧などのパラメータ確認が不可欠です。

ウェハ洗浄・乾燥モジュールにおける溶剤回収装置の仕組みと選定ポイント

ウェハ洗浄・乾燥モジュールにおける溶剤回収装置の仕組み

溶剤回収は大きく「吸着」「凝縮」「膜分離」の3つの考え方が用いられます。半導体分野では、小~中風量で濃度変動のある排気を安定的に処理し、再利用可能な品質で液回収することが重視されます。吸着では活性炭などに溶剤成分をとらえ、脱着で濃縮・回収します。凝縮はコンデンサ冷却で溶剤蒸気を液化して回収し、膜分離は特定成分の分離選択性を利用します。排気組成や温湿度、装置側のインターフェース要件に応じて組み合わせるのが定石です。

ウェハ洗浄・乾燥モジュールにおける溶剤回収装置の選定ポイント

最重要は「処理風量・入口濃度・ガス性状(水分・温度)・溶剤の物性(蒸気圧・凝縮点・親水性)」の把握です。加えて、再資源化の可否(回収液の利用先)・設置スペース・ユーティリティ(蒸気・水・電力)・メンテ性・装置停止時の安全対策を満たすこと。ウェハ洗浄・乾燥では水分を含むことが多く、蒸気使用型の脱着方式だと排水量が増えがちです。水系混在排気に強い方式を検討し、低コストかつ安定回収できる構成を設計することが要となります。

ウェハ洗浄・乾燥モジュールにおける溶剤回収装置の導入メリット

第一に溶剤使用量・廃棄量の削減によるコスト最適化、第二に排気基準遵守と作業環境の改善、第三にサーキュラー観点での資源循環の実現が挙げられます。半導体の品質管理では、乾燥欠陥の低減や装置内汚染リスクの抑制といった副次効果も期待でき、トータルでの歩留まり向上に寄与します。さらに、排水削減・CO₂削減などの環境指標改善は、サプライチェーン評価や取引先監査でも有利に働きます。

【PR】栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置

栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

真空脱着(PSA)方式を採用し、脱着に水蒸気を使わず常温域で再生できるため排水量を大幅に抑制できます。小風量・水溶性溶剤を含む局所排気に強く、ウェハ洗浄・乾燥のような変動のあるラインに適合します。固定床の粒状活性炭を用いた吸着で高い除去率と安定運転を両立し、回収溶剤の再資源化にもつなげやすいのが特長です。

真空脱着式溶剤回収装置の特徴

  • 真空脱着方式で吸着剤に粒状活性炭を用いている
  • 多種多様な溶剤ガスに対応可能
  • 入口ガス濃度の大きな変動にも対応可能
  • 蒸気脱着式と比べて排水量を大きく低減可能
  • 吸着剤のランニングコストが安価
  • 駆動機器が少なく、故障・装置トラブルが少ない

IPA溶剤回収に適してる理由

真空脱着式溶剤回収装置の運転サイクル
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

ウェハ洗浄・乾燥の現場ではIPAが広く使用され、排気はしばしば水分を帯びます。真空脱着(PSA)方式は脱着に蒸気を使わないため、水の混在で排水が増えるという従来の懸念を根本から抑えやすいという利点があります。粒状活性炭の固定床は、入口濃度の変動に対しても安定した吸着性能を示し、濃度変動が大きい立ち上げ・立ち下げ時にも制御性を確保しやすい設計です。さらに、常温域での再生は熱負荷を抑え、ユーティリティ(蒸気)を必要としない構成により、電力・水処理を含む運転費を低減できます。

また、IPAは再資源化の価値が比較的高く、回収液を適切に精製すれば再利用に回せるため原材料コストの削減に直結します。PSA方式で得られる回収液は、蒸気脱着式に比して希釈水の混入が抑制されやすく、精製工程の負荷低減にも寄与します。小風量の局所排気や、真空ポンプ系統の未凝縮ガス後処理にも適合しやすく、設備のフットプリント面でも有利です。結果として、半導体製造の高い清浄度要求とランニング費の最適化を同時に狙える選択肢となります。

主な対応溶剤

炭化水素系(トルエン、キシレン、ベンゼン)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール系(IPA、メチルアルコール、エチルアルコール)など。フッ素系(フロン類の工業用洗剤)などにも対応が可能です。

溶剤回収装置メーカー・栗本鐵工所の概要特徴

同社は1970年代から活性炭吸着を用いた排気ガス処理に取り組み、小風量から大風量まで多様な規模に対応してきた納入実績を持ちます。粉体ハンドリングの連続運転設備にも強く、乾燥設備や主反応設備の揮発成分処理で培った知見を装置設計に反映。蒸気脱着式の豊富な導入例に加え、PSA方式をラインナップすることで、水系混在の現場で排水量低減と運転費節減を両立できる提案力が特徴です。

まとめ

ウェハ洗浄・乾燥では、水分を含む排気や濃度変動への強さ、回収液の再利用を見据えた設計が鍵です。真空脱着(PSA)方式は、蒸気を使わず排水量を抑えつつ高い除去率と安定運転を実現しやすいため、IPA主体のラインに好適です。処理風量・濃度・温湿度・ユーティリティ制約を踏まえて最適構成を選べば、歩留まり向上とランニング費の削減、環境負荷の低減をまとめて達成できます。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

抽出・精製・濃縮工程で発生する
塩素系廃液の溶剤回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

ファインケミカル製品精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、水蒸気排気に強いドライ式真空ポンプを使用。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

1-2ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素 など

回収率(目安)

95%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18