ECH(エチルシクロヘキサン)

ECH(エチルシクロヘキサン)とは?

エチルシクロヘキサン(略称:ECH、化学式 C₈H₁₆)は、シクロヘキサン環にエチル基が結合した環状飽和炭化水素です。別名として「ヘキサヒドロエチルベンゼン」や「シクロヘキシルエタン」と呼ばれることもあります。常温では無色透明の液体で、揮発性と可燃性を有するため、工業用途で使用されている溶剤です。

ECHの基本特性

非極性の溶剤に分類され、軽い石油系の臭気を持ちます。沸点は約131.8℃で、引火点は18.9℃と低いため、常温でも引火の危険性があります。蒸気圧は37.7℃で約25hPaと高く、容易に揮発して空気中に拡散します。

比重は0.78〜0.80と水より軽く、水にはほとんど溶けません。このため河川や海洋などの水域に流出すると水面に油膜として広がり、水生生物に悪影響を及ぼす恐れがあります。蒸気は空気より重く、滞留しやすいため、作業環境では換気や防爆対策が不可欠です。

ECHの主な用途

塗料やインキの希釈剤として主に利用され、その乾燥性や低臭気が評価されています。接着剤や樹脂加工においても溶解力を活かして選ばれるほか、油脂や加工油を除去する工業用洗浄剤としても適している溶剤です。

化学合成において反応性の低い非極性溶媒として用いられることもあります。

環境への影響と規制

揮発性が高いECHは、大気中に排出されると揮発性有機化合物(VOC)として光化学オキシダント生成の一因となる可能性があります。また、排水に混入すると分解されにくく、水生生物に急性または慢性の毒性を及ぼす恐れがあるため、事業所では大気排出や排水処理において厳格な管理が求められます。

規制面では、消防法上は第4類危険物に区分され、貯蔵量や設備基準を遵守しなければなりません。労働安全衛生法では有害な化学物質として、ラベル表示やSDS(安全データシート)の交付が義務付けられています。規制内容や基準値は国や地域で異なるため、実務では必ず最新の法令およびSDSを確認することが不可欠です。

ECHに対する環境対策

取り扱いと排出ガス対策

エチルシクロヘキサンを安全かつ環境に配慮して扱うためには、密閉化と揮発抑制が基本となります。配管やタンクを密閉系とし、局所排気装置や換気装置を整備することで、作業環境への漏洩(ろうえい)を防ぎます。蒸気や排ガスの処理には、濃度が高い場合は冷却凝縮方式、低濃度で広範囲の場合は活性炭吸着方式が一般に用いられます。

廃溶剤の再利用とコスト削減

廃溶剤を再利用する際は、減圧蒸留による再生が適しており、沸点差や含水量、不純物の有無が回収率に影響します。溶剤回収装置を導入する際は、加熱温度域がECHの沸点に対応しているか、装置材質が溶剤への耐性を持つか、防爆仕様が確保されているかなどが重要な選定基準となります。

前処理としての濾過や熱効率の改善も効果があり、環境負荷低減やコスト削減につながります。

適切な保管と廃棄

保管時には直射日光を避け、冷暗所で換気の良い場所に密閉容器で保管します。貯蔵量が多い場合には、消防法の基準に基づく設備が必要です。さらに、排水や廃液については専門業者による処理を基本とし、環境中への放出は避けなければなりません。

以上のように、エチルシクロヘキサンは利便性の高い溶剤ですが、可燃性と環境影響の両面から厳格な管理が求められます。溶剤回収装置の導入はVOC削減とコスト低減の双方に有効であり、設備仕様は必ずメーカー情報とSDSで確認することが不可欠です。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

反応・合成・洗浄工程で発生する
溶剤の排水回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)

回収率(目安)
                               

99%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18