化学式C6H12の炭化水素で、六つの炭素原子が環状につながった構造をしています。無色透明で揮発性があり、独特の石油臭を持ちます。
常温では液体で、沸点は約81℃、融点は約6℃と比較的低い温度で相変化します。密度は0.78程度で水より軽く、水にはほとんど溶けません。
蒸気圧が高いため揮発性が強く、引火点は-18℃と非常に低いことから、火災リスクが大きい物質です。作業環境での許容濃度は100〜150ppm程度に設定されており、高濃度蒸気を吸入すると頭痛やめまいなどの中枢神経症状を引き起こす可能性があります。
つまり、物性の観点では「扱いやすい溶剤」でありながら「危険性を伴う可燃性液体」であるため、適切な管理体制が欠かせません。
工業的に広く利用される化学品であり、最も大きな用途はナイロン原料の製造です。具体的には、シクロヘキサンを酸化して得られるアジピン酸やシクロヘキサノンが、ナイロン6およびナイロン66の原料として利用されています。
そのため、繊維産業や自動車部品分野では広く利用される物質です。有機溶媒としての利用も広く、塗料や接着剤の希釈剤、ゴム・樹脂加工の溶剤、香料の抽出媒体など多岐にわたります。
石油精製や研究開発現場においても、非極性溶媒としての性質を活かした抽出・精製工程で重宝されています。このように、シクロヘキサンは素材産業と化学工業の双方を支える基盤的な物質といえます。
シクロヘキサンは揮発性が高いため、環境中に排出されると主に大気へ拡散します。大気中では数日以内に分解しますが、光化学スモッグの原因物質となる可能性があるため、大量放出は避けるべきです。
また、水中では難溶性ながら浮遊膜を形成し、魚類や藻類に対して強い急性毒性を示すことが知られています。そのため、「水生生物に非常に強い毒性を持つ物質」として分類されており、排水への混入は厳禁です。
日本ではPRTR法の第一種指定化学物質に追加され、事業所は取扱量や排出量を届け出る義務があります。大気汚染防止法ではVOC規制の対象となり、消防法では第4類危険物に区分されています。
このように、シクロヘキサンは複数の法規制の下で管理されており、企業は法的順守と環境配慮の両立が不可欠です。
シクロヘキサンの使用にあたっては、環境中への排出を極力抑えることが基本原則です。具体的には、設備の密閉化や局所排気装置の設置により、作業環境および外部への漏出を防ぎます。さらに、VOC排出削減のためには溶剤回収装置の導入が有効です。
例えば、活性炭吸着や冷却凝縮によってシクロヘキサン蒸気を回収すれば、大気放出を防ぐと同時に再利用も可能となります。加えて、漏洩時の吸収剤による速やかな処理や、廃液の適正処理も重要です。
これらの対策を徹底することで、法規制を遵守しながら企業の環境リスクを低減に役立ちます。特に溶剤回収装置は、環境負荷削減とコスト削減の両面でメリットがあり、導入を検討する企業にとって有効な対応策の一つと考えられます。
化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。
トルエン、キシレン、ベンゼン など
95%(※1)
有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。
水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)
99%~(※2)
一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。
DMF など
99.5%~(※3)
(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html)
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18)