IPAベーパー乾燥における溶剤回収

IPAベーパー乾燥とは

IPAベーパー乾燥は、洗浄・リンス後のウェハ表面に残った水分を、高純度イソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を用いて置換・除去する乾燥工程です。濡れた表面にIPA蒸気を導入すると、水がIPAと置換され、蒸気化しながら効率よく排出されます。

従来のスピン乾燥や温風乾燥に比べて、ウォーターマークの発生や微細パーティクルの付着を大幅に抑えながら、均一な乾燥面を形成しやすい点が特徴です。このページでは、特に「IPAベーパー乾燥における溶剤回収装置」の視点から解説します。

IPAベーパー乾燥における主な使用溶剤

IPAベーパー乾燥で中心的に使用される溶剤は、イソプロピルアルコール(IPA)です。IPAは水とよく混ざり、揮発性も高いため、ウェハ表面の水分を効率的に置換・除去できます。流れとしては、洗浄後のウェハへIPA蒸気を導入し、水分をIPAへ置換しながら乾燥を進めます。

また、前工程ではアセトン、NMP、トルエン、キシレンなどの有機溶剤を用いた脱脂洗浄やリンスが行われる場合もあり、IPA蒸気と他溶剤蒸気が混在する排気を安定処理できる回収構成が必要です。乾燥工程では、溶剤蒸気量の変動・水分混入・ミスト化・温湿度変化など、環境条件を考慮した装置選定が求められます。

IPAベーパー乾燥における溶剤回収装置の仕組みと選定ポイント

IPAベーパー乾燥における溶剤回収装置の仕組み

IPAベーパー乾燥における回収装置では、乾燥後にウェハ室から排出される溶剤蒸気・混合ガスを捕集し、再利用あるいは安全に処理可能な状態に変換します。典型的には、吸着材を用いてIPAなどの溶剤ガスを捕捉し、脱着・回収を行う方式が採用されます。例えば、IPA蒸気が混在する排気ガスを活性炭に吸着させ、その炭を加熱または減圧して脱着し、液化・回収します。

さらに、凝縮器を併用して溶剤蒸気を冷却・液化させる構成もあります。このように、乾燥工程からの溶剤蒸気を「発生→捕集→再生/除却」へとつなげる仕組みが溶剤回収装置の役割です。

IPAベーパー乾燥における溶剤回収装置の選定ポイント

選定時には、まず「処理風量・入口溶剤蒸気濃度・水分混入率・温湿度・排気ガスの変動性」を明確にします。IPA乾燥では、濡れウェハからの蒸気・ミストが発生しやすいため、入口濃度変動・水混入・温度変化に強い構成が望まれます。また、対象溶剤がIPAであるため、引火点・蒸気圧・爆発限界範囲を十分に考慮する必要があります。

加えて、再利用を想定するなら「回収液の純度・水・不純物の混入具合・精製可否」も確認します。ユーティリティ面では、蒸気脱着式か真空脱着式か(または膜分離併用か)を選び、蒸気設備・ボイラー・冷却水・電力などの有無とコストを検討します。設置スペース・メンテナンス性・停止時の安全対策(IPA蒸気漏えい防止・防爆構造)も重要な論点です。

IPAベーパー乾燥における溶剤回収装置の導入メリット

IPAベーパー乾燥ラインに溶剤回収装置を導入することで、まず溶剤購入量・廃棄量の削減が見込めます。IPAは高純度薬剤としてコストが高く、回収・再利用が進めば直接的なコスト削減につながります。また、蒸気・ミスト排気を確実に処理することで、ウォーターマークや乾燥欠陥、パーティクル付着のリスク低減が期待でき、ウェハ歩留まりの向上にも貢献します。

さらに、溶剤蒸気の排出濃度低減や回収液の再利用化は、環境規制対応・作業環境改善・サステナビリティ対応という観点からもメリットが大きいです。加えて、乾燥工程特有の変動負荷に対応可能な装置構成を選ぶことで、安定運転・保守性の高いライン設計にもつながります。

【PR】栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置

栗本鐵工所の真空脱着式溶剤回収装置
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

同社の真空脱着式溶剤回収装置は、脱着工程で蒸気を用いず、常温近傍で活性炭を再生できるため、排水量を大幅に抑えながら、IPAを含む溶剤蒸気の回収に高適合です。入口ガス濃度変動や水分混入に強く、乾燥‐洗浄‐回収の一連工程において高い信頼性を発揮します。

真空脱着式溶剤回収装置の特徴

  • 真空脱着方式で吸着剤に粒状活性炭を用いている
  • 多種多様な溶剤ガスに対応可能
  • 入口ガス濃度の大きな変動にも対応可能
  • 蒸気脱着式と比べて排水量を大きく低減可能
  • 吸着剤のランニングコストが安価
  • 駆動機器が少なく、故障・装置トラブルが少ない

IPA溶剤回収に適してる理由

真空脱着式溶剤回収装置の運転サイクル
引用元:栗本鐵工所公式HP
https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html

ウェハのIPAベーパー乾燥工程では、IPA蒸気を用いながらも往々にして水分混入や濃度変動が発生します。真空脱着式は脱着に蒸気を使わず、水分混入による排水増加・処理負荷を根本から抑制できる点が大きな優位性です。粒状活性炭を用いた固定床は入口濃度変動に対しても安定した吸着特性を示し、局所排気や小風量の乾燥ラインにも適合します。

さらに、蒸気設備不要のためユーティリティ要求が少なく、乾燥工程の省スペース・省エネ化にも貢献します。IPAは再利用価値の高い溶剤の一つであることから、真空脱着式で得られた回収液は、不純物・水分の混入を抑えて精製に回せるため、原材料費低減に直結します。

主な対応溶剤

炭化水素系(トルエン、キシレン、ベンゼン)、エステル系(酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール系(IPA、メチルアルコール、エチルアルコール)など。フッ素系(フロン類の工業用洗剤)などにも対応が可能です。

溶剤回収装置メーカー・栗本鐵工所の概要特徴

栗本鐵工所は、活性炭吸着を用いた排気ガス処理・乾燥設備において長年にわたる実績を誇ります。特に粉体ハンドリング設備からの揮発成分処理において蓄積されたノウハウを活用し、小風量から大風量まで対応可能な溶剤回収システム設計力を有しています。IPAベーパー乾燥などの変動が多い乾燥ラインにおいても、入口ガス濃度・水分・運転変化に強い構成を提供可能です。

まとめ

IPAベーパー乾燥工程では、ウェハの洗浄後に残る水分やミスト・微細膜を除去し、パーティクルやウォーターマークを抑えつつ次工程に適した乾燥状態とすることが求められます。このため、溶剤蒸気(IPA)を効率よく制御しながら、排気ガス中の溶剤成分を回収・再利用する構成は、品質・コスト・環境の三側面で優れた選択肢です。

真空脱着式溶剤回収装置が持つ「蒸気レス・排水低減・変動耐性」という特長は、IPAベーパー乾燥ラインで特に生きる設計要件となります。処理風量・濃度・温湿度・ユーティリティ条件を整理し、自社ラインに最適な構成を選定すれば、溶剤使用量削減・廃棄量低減・歩留まり向上・環境対応を同時に達成することが可能です。

【用途別】おすすめの溶剤回収装置3選

化学薬品工場や印刷工場、金属加工工場、塗装工場などさまざまな現場で使用されている溶剤。溶剤回収装置を活用することで、コスト削減、環境配慮、法規制への対応などさまざまな効果を得ることができます。
溶剤回収装置は、装置によって仕組みや処理の方法、対応可能な溶剤などが異なるため、現場の用途に合わせて選ぶのがおすすめ。ここでは3つのタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

洗浄・脱脂・乾燥工程で発生する
VOCガスの溶剤回収なら
蒸気脱着式溶剤回収装置
(栗本鐵工所)
蒸気脱着式溶剤回収装置(栗本鐵工所)
引用元:栗本鐵工所
(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/youzai.html)
おすすめの理由

VOCガス処理で50年以上の実績があり、粒状活性炭を吸着材に使用した装置で、濃度変動がある環境下でも95%の除去率(※1)を実現。リサイクルにも対応。

該当する主な物質

トルエン、キシレン、ベンゼン など

除去率(目安)

95%(※1)

反応・合成・洗浄工程で発生する
溶剤の排水回収なら
排水処理装置 ソルピコ
(日本リファイン)
排水処理装置 ソルピコ(日本リファイン)
引用元:日本リファイン
(https://n-refine.co.jp/service/environment/)
おすすめの理由

有機溶剤精製等の蒸留工程で実績とノウハウがあり、高回収率・省エネルギー型で低ランニングコストを実現。回収した廃液の引取り・精製にも対応。

該当する主な物質

水よりも沸点が低い、または、水と共沸点を持つ溶剤(アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類 など)

回収率(目安)
                               

99%~(※2)

反応・成形・合成工程で発生する
DMF排水の溶剤回収なら
DMF回収装置
(日本化学機械製造)
DMF回収装置(日本化学機械製造)
引用元:日本化学機械製造
(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/56)
おすすめの理由

一本塔の減圧濃縮方式と比べて、蒸気原単位が40%以上節減できる「多重効用蒸留方式」を採用。品質も安定しており、無色で純度99.5%以上のDMFを回収可能。

該当する主な物質

DMF など

回収率(目安)

99.5%~(※3)

(※1)参照元:栗本鐵工所公式(https://www01.kurimoto.co.jp/co-lab/about/test-machine.html
(※2)参照元:日本リファイン公式(https://n-refine.co.jp/service/environment/solpico/)※処理対象・運転条件等で異なる。
(※3)参照元:日本化学機械製造(https://www.nikkaki.co.jp/products/detail/18